企業情報
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研究開発体制

座談会「竹虎のものづくり」
お客さまの“お困りごと”を解決するために

医療・福祉・健康分野の商品を通し、人々の生活を豊かにし、社会に貢献する。

そのような思いから、メーカーとして商社として、さまざまな商品を提供している竹虎グループ。お客さまや医療・福祉の現場の声に耳を傾けながら商品開発に取り組んでいます。

商品開発に携わる企画本部の3名が竹虎のものづくりについて語り合いました。

プロフィール

H.S.(1998年入社)
企画本部 商品開発部 商品開発課 課長
既存商品のリニューアルや市販後調査を担当。
H.T.(2008年入社)
企画本部 新規開発部 課長代理
新商品の企画・開発を担当。主にリフト関連。
N.S.(2007年入社)
企画本部 新規開発部 係長
新商品の企画・開発を担当。主に杖、靴の案件。

  • 商品開発の
    基本理念とは

  • 高齢化社会の
    ニーズに応えて

  • 日本人に合った
    介護用品を

  • 医療の現場の
    声にも迅速に
商品開発は「お客さまの“お困りごと”は何か」を考えることから始まる。
H.S.お客さまの“お困りごと”は何か。それを拾い上げることから私たちの商品開発は始まります。つまり、「お客さまの“お困りごと”を解決すること」が竹虎グループにおける商品開発の基本理念です。「困っている人の立場に立って物事を考えなさい。高齢者になりきりなさい。そうすればどのようなものが必要なのか見えてくる」という飯島社長の言葉があります。社長が営業担当だった頃から大切にしてきた考え方で、それを私たちも受け継ぎ商品開発を行っています。
H.T.それに加えて、エビデンス(医学的根拠)に基づいたものづくりも竹虎が大切にしていることですね。専門家の方々にアドバイスをいただきながら、エビデンスをきっちり抑えて商品にフィードバックする。だから、安心・安全で使いやすい商品を生み出すことができるのです。
N.S. あとは、「これをつくりたい!」という情熱でしょうか。ひとつの商品を世に出すまでには、どのような商品であれ、トライアンドエラーを繰り返すだけに、熱い思いがなければ実現は難しい。だからこそ、完成したときは喜びもひとしおです。
社員全員の意見を集約し、現場の声を聞くことが新商品のアイデアとなる。
H.S.情報ソースは主に3つあります。まず、営業社員が作成する日報です。そこには得意先の情報が詰まっているので、それを企画本部のメンバーも共有。現場の声をスピーディーに拾い上げています。
2つめは、会社に直接かかってくるお客さまからのお電話です。「サイズが合わないから、もっと大きなものをつくってほしい」など、ご要望をすべてまとめて“見える化”して情報を共有。そうすることで、今、何が求められているのかが具体的にわかります。
3つめは社員の声です。実は当社では、新商品のアイデアを思いついたら、誰でも企画本部に提案することができます。全社員が普段からアンテナを張り巡らせているので、いろいろなアイデアが出てきますね。
H.T.なかには突飛な視点のアイデアもありますが(笑)。でも、「確かに!」と納得するものも少なくありませんのでとても参考になりますね。
H.S.企画本部のメンバーだけでは限られた力でも、部門を超えて連携すれば大きな力になり、いろいろなアイデアが集まってきます。それらを精査し、本当にお客さまの“お困りごと”を解決できるのかを十分検討した上で、次の段階に進めます。「やってみよう」ということになれば、市場規模や市場性を調査し、サンプルや試作品を用意。それらをお客さまにサンプリングしてご意見を頂戴します。
N.S.竹虎には古くからお付き合いのある病院や介護施設などがあるので、そうした方々にご協力いただくことで、使う人の声を知ることができます。時には、私たちが直接話を聞きに行くこともあります。生きた情報がすぐに手に入り、商品開発に活かせる。それが竹虎ならではの強みといえるでしょう。
介護者にも要介護者にも快適な環境をつくる「フドー®シリーズ」。
H.T.「フドー®シリーズ」は、ご自宅で認知症の方を介護する方々のことを真剣に考え生まれました。認知症の方の介護には大変な労力を伴います。ご本人で衣服を脱いでしまったり、おむつを外してしまったり。そうした行為を防ぐために、当時は手足の自由を無くしたり、カギ付きのつなぎねまきを着せたりしていたのですが、そのような方法はご本人だけでなく介護する方にとっても抵抗があります。またその姿を見てしまった第三者の方も不快な気持ちになるでしょう。
そこで当社が考案したのが、ひと目ではカギとわからず、ご本人では外しにくい特殊な構造の「アイデアホック」です。見た目には普通のボタンと変わりません。このアイデアホックをファスナーの開閉部分に取り付けたのが「フドー®ねまき」です。
アイデアホックにより、介護する方とされる方の安全を守る「フドー®ねまき」
アイデアホックにより、介護する方とされる方の
安全を守る「フドー®ねまき」
N.S.最初に完成したのが1型で、胸元から両足にかけて「ハ」の字にファスナーを配置しています。前身頃が大きくめくれるので着せやすく、「アイデアホック」のおかげで介護する方の精神的負担を軽減できるのが最大の特長ですね。発売以来大変好評で、その後、開閉部分の位置や生地の柄、素材を変えるなどバリエーションをお客様のニーズに応えて増やしています。
カジュアルなデザインと腰部の伸縮するメッシュ素材が特徴の「フドー®ねまき 7型」
カジュアルなデザインと腰部の伸縮する
メッシュ生地が特徴の「フドー®ねまき 7型」
H.S.例えば「フドー®ねまき 7型」は、チェックのシャツとチノパンをイメージしたデザインなので、デイサービスなど外出時にも着ることができます。特に工夫したのは腰部です。というのも、つなぎねまきを着た方が椅子に座ったり車いすに乗ると、背中の生地が引っ張られて、首を圧迫してしまうという点に着目しました。そこで参考にしたのが自動車整備士のつなぎ。楽に動けるように腰の部分が蛇腹になっているところにヒントを得て、腰部に伸縮性のあるメッシュ生地を採用しました。これにより、座ったときに生じる不快感を解消。着心地も悪くありません。
実はこのメッシュ生地は、当社の医療用品で使っている素材。医療・福祉・健康の3つの分野の商品を手がけているからこそ、発想の幅が広がり、相乗効果も生まれます。これもまた竹虎ならではの強みですね。
N.S.そうですね。そして、手がけたものは必ず自分たちで使ってみる。実際に試してみて、機能性やデザイン、着心地などを確認するのも私たちが大切にしていることです。なにより自分たちの親に本当に着せたいか。そう思うものでなければ商品化は考えません。
「フドー®てぶくろ」にも介護現場から寄せられた声が随所に反映されている
「フドー®てぶくろ」にも
介護現場から寄せられた声が随所に反映されている
H.T.「フドー®てぶくろ」のようにデリケートな商品は、現場の声に丁寧に耳を傾けて商品化を進めました。自分の体を傷つける自傷行為や、カテーテルを抜くなどの危険行為を防ぐためにミトン型になっていますが、てぶくろの内部はゆったりとした設計で手指の動きを妨げません。「フドー®てぶくろ横入れ」は介護する方がご利用者の手指の状態の確認やケアがすばやくできるように、開閉部分を大きくしてファスナーとアイデアホックを付けています。介護者、要介護者の双方がより快適に暮らせる環境をつくりたいという思いのもとに開発されたのが、「フドー®シリーズ」なのです。
海外の優れた商品を、日本人にも使いやすくアレンジ。
H.S.介護用品はヨーロッパが進んでいるので、海外の展示会に参加するなど、有益な商品の発掘を定期的に行っています。ドイツの展示会で見つけたのが、室内専用の歩行車「レッツゴー」。室内での移動に適したシンプルでスタイリッシュなデザインが目を惹き、市場性を調査。ニーズがあると判断し、すぐに取引を開始しました。
H.T.ただ、海外製品の場合、サイズが日本人に合わないこともあります。「レッツゴー」も然り、メーカーと交渉し、日本市場向けにサイズダウンしたものをつくってもらいました。それが「レッツゴーミニ」です。小柄な方や狭い屋内でも扱いやすいため、多くの方々からご好評をいただいています。
日本の入浴習慣に合わせて開発された「ベンチバスター®」
日本の入浴習慣に合わせて開発された
「ベンチバスター®
H.S. 海外で使われているものをそのまま取り入れるのではなく、私たち日本人が使いやすいかどうか。時には、海外製品に着想を得て、日本人の生活様式に合わせたものを開発することもあります。例えば、入浴をサポートする入浴台がそれにあたります。欧米では、バスタブに入浴台を設置して、そこに座ってシャワーを浴びるという使い方ですが、日本の暮らしではそれは向きません。そもそも浴室のサイズも違う上、入浴台を設置したり取り外したりするのは不便です。
そこで、日本の「湯船につかる」という入浴スタイルに合わせて開発したのが「ベンチバスター®」です。直径30cmの丸イスのような形状で、浴槽の縁に挟んで使います。そこに腰かけ、座面の裏にあるミゾをしっかりつかむことで、浴槽に入ったり出たりする動作をサポートします。
N.S.円形の座面はしっかりと固定されるので安全性が高く、表面は水はけのよい加工を施しているので、肌へのあたりもやさしいのが特長ですね。
H.S.介護用品だけに安全性には特にこだわっています。「ベンチバスター®」は浴槽の縁幅に合わせて3段階で調節できる上、座面が縁の中央になるような仕組みを採用しています。また、浴槽の縁を挟む固定板は、内側に向かって88°の角度がついているので外れにくくなっています。
浴槽の縁幅に合わせて調節でき、座面も水平を保つ
浴槽の縁幅に合わせて調節でき、座面も水平を保つ
H.T.2001年の発売以来、在宅介護されているご家庭でのご購入が多いですね。なみ板のフタであれば、「ベンチバスター®」を取り付けたままで使用できますし、浴槽縁を挟む部分には滑り止めのゴムが付いているので、浴槽にキズをつける心配もありません。
身体を清潔に保つためにも、心身をリフレッシュするためにも、入浴は日々の生活に欠かせないもの。「ベンチバスター®」をはじめ、浴室内での身体の負担を軽減する入浴用品を活用して、快適なバスタイムを過ごしていただきたいですね。
迅速さが求められる感染症対策にも、豊富な知見で適切に応える。
N.S.新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染対策商品を取り扱うメーカーの責務として、どこでどのようなものが必要とされているのか市場調査を行いました。とりわけ訪問看護の場では、訪問するときに感染リスクが高まります。そこで開発したのが「感染防護基本セット」です。感染対策に必要なシールド付きマスク、キャップ、ガウン、グローブ2枚、シューカバー2枚を1袋にまとめたものです。これらを入れるパッケージは大きめのA4サイズで、使用後の防護具を入れる廃棄袋も兼ねています。
感染対策用品をパッケージ化した「感染防護基本セット」
感染対策用品をパッケージ化した「感染防護基本セット」
H.T.それまでは訪問看護ステーションに、感染対策用品がそれぞれ置いてあり、スタッフの方が必要なときに必要なものを必要な数だけ揃えて用意し、担当するお宅に訪問していました。しかし、コロナ禍では使い捨ての個人防護具の装着が欠かせなくなりました。これまでのようなやり方では手間も時間もかかってしまう。そこで、バラバラになっているものを1回分ごとにまとめたら使いやすいのではないか。そう考えて「感染防護基本セット」を考案しました。
お客さまの豊かな暮らしに貢献するため、チャレンジし続ける。
H.T.高齢者も障がい者も、いつまでも自分でできることは自分でと思われる方が多いのです。そうしたニーズに応えるために、移動に関わるもの、アクティブに動くことを支援するもの、気持ちが前向きになるものを開発していきたいですね。
女性や手の小さな方も握りやすいグリップの「バンブーステッキ」
女性や手の小さな方も握りやすいグリップの
「バンブーステッキ」
N.S.そうですね。人生100年時代になって、アクティブに活動できる時間が増えてきています。高齢者といっても、元気で気持ちも若い方はたくさんいらっしゃいます。そうした方たちをサポートするもの、なおかつ、そうした方たちに受け入れてもらえるものをつくっていきたいですね。そのひとつとして「バンブーステッキ」という商品があります。握りやすいように、紙粘土を握って形状を検討、実際にやわらかな木を削った試作品を様々な人に握ってもらい、試行錯誤の末にようやく完成しました。日本人の女性の手に合った杖はこれまでなかったので、「バンブーステッキ」の認知拡大に取り組んでいきたいと考えています。
H.S.このように、杖もあれば歩行車もありリフトもある。一口に「介護用品」といっても、衣類も寝具もあり、多岐にわたっています。さらに、竹虎では「医療用品」や「福祉用具」も扱っています。これほどバラエティに富んだ商品を揃えるメーカーは他にはないのではないでしょうか。幅広く手がけているからこそ、私たちにしかできないものづくりがあると思います。これまで培ってきた歴史を守りながら、新しいことにも果敢にチャレンジして、より多くのお客さまに貢献できる商品を提供していきたい。私たちはそのように考えています。

  • 商品開発の
    基本理念とは

  • 高齢化社会の
    ニーズに応えて

  • 日本人に合った
    介護用品を

  • 医療の現場の
    声にも迅速に
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